免疫革命

 4年前、体調を崩したことをきっかけに、私はそれまでおざなりにしてきた自分の身体にもっとちゃんと向き合おうと思いました。
 診断名はバセドウ病。甲状腺の病気です。私が発病したことで、なんと、母親方の身近な家族は全員、甲状腺疾患を罹患したことになりました。

 当時の忙しさと精神的なプレッシャーは尋常ではなかったので、発病の原因は明確でした。
 「原因が分かっているなら、自分の力で治せるはず」と、投薬だけで治療する気になれなかった私は、多忙を極めた仕事が落ち着くと、生活習慣を見直し、1日の終わりに必ずリラックスする時間を設け、20年近く前から興味を持っていたオステオパシーの施術を受けることにしたのです。

 発症時には医師から入院を勧められたほど悪化していた甲状腺の数値が、みるみる改善し、1年もたたずして、薬要らずの身体を取り戻しました。何より嬉しいのは、長年悩まされ続けてきた慢性鼻炎は、オステオパシーの施術を受けるようになって3か月もしないうちにピタリと治まったのです。

 人間は起きた事件にピンポイントで対処しようとしがちです。周囲にさまざまな環境素因や複雑な原因が絡んでいるはずなのに、どうも、AにはBというように、モグラ叩きをすることしか対処の方法がないという考えに陥りがちです。




 人が「治ろう」「バランスを取り戻そう」という力を実体験した私の専らの興味は『免疫力』です。遅まきながら、安保先生の『免疫革命』をじっくり読むことにしました。
 先生の理論は、私にはとてもしっくりくるもので、日常生活においても実践できることが多々あり、楽しみながら、考え取り組めるものです。

 文明の進化が、デジタル化を導いているのだとしたら、人間という生物の生き残る道はどこへ向かっているのでしょうか。思想も報道も、俗っぽいニュースも「0か1」のような二択の意見に分かれ、表面上、倫理観を傷つけない考え方が正しく、それ以外は悪だと決めつけているような。。。
 「ナンバーワンよりオンリーワン」という歌が流行ったにもかかわらず、人々は周囲に馴染むことにエネルギーを注ぎ、個性を失い、デジタルツールに生活の大半を占め、「いいね」を集めることを目的に自身の大切な時間を費やしている人がたくさんいるといいます。

 YesかNoだけでなく、もっと複雑で、自由であってもいい私たちの世界を、決められたセオリーやルールだけに集約しても良いのでしょうか。統計上、良いもこともあるのかもしれませんが、そればかりでは面白くありません。

 免疫革命は、人体は本来、治ろう、健全な生命活動を営もうとする力があるということを前提に、その力を整えるために必要な知識と実践が綴られています。もちろん、この本に書かれていることが全てではなく、読者が必要だと思う部分だけ取り入れても良いのです。 それくらいこの世の中は、フレキシブルでいいはずです。

 自分の身体が健全に機能しようとする力は、自分自身を信じることと同じ気がします。医師の言いなり、施術師の言いなり、セラピストの言いなり、周囲の言いなり、世の中のブームの言いなりになって、右往左往しながら、「ちっとも治らない(改善しない)」と嘆くより、「自分は治る」「治癒力は自分の中にある」「良くなる」と信じ、身体の声に耳を傾け、自分が欲していものを主体的に取り入れていくことが、自分で自分を治すことなのだと思います。

 自然界の循環や食物連鎖、自浄作用は、本来、自然現象に任せるべきを、人間が手を加えたことでバランスを大きく崩しました。人体も同様に、もっと自分自身を信用しても良い気がします。

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